ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ

 …邦題の付け方間違っている卑近な例だなこりゃ。原題は「ヒラリーとジャッキー」英語の綴りなどは忘れてしまった。この邦題、よく言われる「本当の私」と言う感じで薄ら寒い感を抱くのはワタクシだけではないと思う。本当も嘘もひっくるめて“私”なのは自明ではないか。若くして逝ってしまった天才チェロリストのドロドロした裏舞台というか、その天才を支える“家族”を姉を中心として描いているのだが、ある程度年齢がいくとそういうモノがあるというのは分かり切っている。

 生まれながらにして天才チェロ弾きの妹と秀才タイプのフルート吹きの姉の確執を描いている。かといってアホみたいに妹の才能に嫉妬し、いじわるをするといった類のモノではない。姉は嫉妬しつつもそういう自分に対して自責の念を抱いていたりといったところがスクリーンから伝わってくるのだ。

…書けば書くほどネタばれだな。ワタクシだけの主観はともかく、映画が終了と同時に複数の方向から拍手が起こったのには正直言って驚いた。その瞬間のけぞりそうになったワタクシである。客層は子育てを終えたと思われる年齢のご婦人方が8,9割方を占めていた