ハンニバル

 年度始めでありエイプリル・フールの土曜深夜、いつもの立川にて先行オールナイトにつき2回続けて鑑賞。前回夜を徹して映画館で過ごしたのは奇しくも“スターウォーズ エピソード1 ファントムメナス”と公開時期が重なってしまった“交渉人” の時以来か。それにしても23時30分からの回はともかく、2時15分からも私のように2回観る客は3人位の1グループしか見あたらないにも関わらず8割方席が埋まっていくのにはこの作品に対する期待というモノがうかがい知れよう。

 この作品には周知の通り前作は“羊たちの沈黙”であり原作は寡作にも程があるトマス・ハリスの“レッド・ドラゴン”、“羊たちの沈黙”、“ハンニバル”とこの3作しか発表していない。ちなみに1作目はハヤカワ文庫で他は新潮文庫より刊行されている。久々の脚本のしっかりした作品なので原作を読んでから本作を鑑賞しようと画策するも身体の方が先に動いてしまった次第。

 監督はリドリー・スコット (グラディエイター etc...) であり、前作のメガホンを取ったジョナサン・デミクラリス役だったジョディー・フォスターは早々に降板したという。これからも少し気落ちしたのだがタイトルがハンニバルとあれば連続殺人鬼・人食嗜好者レクター医学博士を演じるところのアンソニー・ホプキンスを中心として描かれるわけであるからしてやむを得ない。彼は何ら気負った様子もなく1年の休養の後にこの作品に取りかかったと云うことだが全てにおいて自然であり、プロモーション来日した時のインタビューに依れば意味ありげなシーンも何も考えずに演じたのだと云う。これが功を奏してかミステリアスだが心理描写が解読不能であるところの答えだろう。

 今回のFBI訓練生から捜査官になったクラリススターリング役にジュリアン・ムーア(ブギーナイツ etc...) と変わってしまったが、コレはコレでいいのでは?と云う好演ぶり。しかし、このキャラクターを印象づけるために冒頭で描かれるほとんど関係のない麻薬捜査における銃撃戦があるのはこの作品が初めてだという方には親切だが、10年前の作品とは云え前作から観ているほとんどの方にとっては私も含めてあまり必要ではなく、原作がある以上やむなくカットしたと思われる箇所の描写に使って欲しかった…と云うのはわがままか。

あと、エンドロールを観て一も二もなく二度観てしまった私だが、その為にもついついリピーターとなってしまう方は続出するでしょう。わかっていてもなかなか気づかない程ではある。この点については DVD などでオマケなどを参照しつつ二回目は観た方がいいと思う。

そして、これから観られる方には原作の通読よりも前作の“羊たちの沈黙”をビデオなりで復習されることをオススメする。

羊たちの沈黙〈特別編〉 [DVD]

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ハンニバル スペシャルプライス版 [DVD]

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