ザ・セル

 年度代わり直前の最終土曜日、立川シネマシティーにて鑑賞。春休みだからなのか、世間は狭いとはよく云ったもので知り合いが其処のスタッフになっていたのには驚いた。その日の最終上映回と云うことでB5ハーフサイズのパンフレットを購入しておいた。手を変え品を変えとはよく云ったものだ。願わくば、価格は維持したままで勝負していただきたい。

 監督はターセム。インド出身らしくナイト・シャマラン (シックス・センス etc...) およびシェカール・プール (エリザベス etc...) といい最近の佳作に占める割合が増している。もっともインドは当作品も然りであるにしろハリウッドと比べて公開される本数が桁違いに多く、そういった競争の激しい国から突き抜けてハリウッド進出となったと思われる。ネタ不足に悩むハリウッドに新しい血が入って活性化していると云ったところか。

その内容に関して、1時間49分と云う長い間どの場面を切り取っても絵になる作り方であり、いかにもMTVのプロモーションビデオを撮ってきた監督らしい。なお、衣装に「ドラキュラ」でオスカーを手にしたことのある石岡瑛子。この方は今一番有名な日本人だと思われる。

 主演のジェニファー・ロペスは私にとってジョージ・クルーニーと好演した「アウト・オブ・サイト」以来のお目見えで、その間信頼できるビルボードという音楽のヒットチャートでトップに輝くという結果も残したようで半端ではないバイタリティーを感じる。世界一セクシーな女性との評判だが、少しも大げさではない。

あと目に付いたところで、他を寄せ付けなかったのがカール・スターガー (フルメタル・ジャケット etc...) だ。サイコでありシリアルキラーの犯人の頭の中にロペスが入るのだが、その何でも有りの世界の中を支配している魔王の様な役で特殊メイクを施されているにしろその存在感は抜群であり、現実の世界での本人を演じるヘンリー・ウェスト (ディスクロージャー etc...)と風貌が似ているにしてもスゴイ。「羊たちの沈黙」のアンソニー・ホプキンスと同等、もしくはそれ以上のはまり役だと思った。

 この様にキャスト・スタッフ共に個性と才能を持つ人たちでほとんど全てのシーンが丁寧に作られているとあれば、去年中盤以降いろんな作品を観て満たされない気分だった私を本作はさすがに満足させた。

ちなみに本作はR−15指定となっており、ある箇所がそうであると云うのではなく全編にそれが散在した作りになっている為これだけは先に知っておくべきである

ザ・セル [DVD]

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